良い年でありますように、
豊かな実りを願い迎える新年。
凍てつく風が吹きすさぶ冬。田んぼは土づくりの季節を迎えます。秋のうちにワラを土にすき込んでおき、冬に数回、田起こしをして堆肥を混ぜ込みます。この作業が翌年の秋の実りにつながるのです。
昔は稲刈りを11月頃までしていたため、収穫を祝う祭り「祷(とう)」を12月1日におこなっていました。この日のために、「祷家」は、共有の田んぼ「祷田」で米づくりをし、収穫した米を売って大盤ぶるまいをしたのです。
かつては、冬になると山でたきぎづくりをしました。一年中くど(釜戸)や風呂で使うため、子どもも背負子を背負い、お手伝いをしました。
年末になるとお正月の準備。昔はしめ縄は各家庭で作っていました。今は作る人がほとんどいなくなりましたが、「さぎりの里」では、地元のお年寄りが作ったしめ縄を販売し、人気です。田んぼには、シイや松、ユズリハなどで小さな門松を作って立て、次の豊作を祈りました。
こうして米づくりの1年は、また巡っていくのです。
祭り・行事
■山の神
山の神は女性の神様で、いろいろなものを産み出す神様とされていました。かつては地区ごとに山の神が祀られ、12月7日に祭礼がおこなわれていました。重箱にごちそうを入れて持ち寄ったり、餅ほりもしましたが、今では当番の人が掃除をしてサカキをさしてお祀りするだけになっています。石を積んでかまどをつくり、煮炊きをしてお祭りをする地区もありました。
冬の食べもの
●三杯(さんばい)
阪本地区発祥の料理で、祭りや地区の人が集まるときには欠かせないものです。季節に採れるレンコン、ゴボウ、大根のほか、三杯酢に漬けたさいれも入って栄養満点です。
冬の遊び
■そしばい
小学生の男の子が手製で作ったコマ。木を削りだしただけの簡単なもので、糸紐(いとひも)でコマをたたき続けて回しました。たたき続けることを「そしまわす」と言い、余り激しく叩き付けて小石が飛んで危なかったので学校では禁止になったりしました。