稲刈りのことを「秋」ともいう。
秋が始まった。やっと迎える秋。
台風を幾度か乗り越え、お盆を過ぎると、いよいよ稲刈りの季節です。黄金色の稲穂が頭を垂れ、もう刈りどきだよと教えてくれます。
昔の稲刈りは10〜11月頃で、刈った稲の束は、「さがり(はざ)」に掛けて天日干しをしました。脱穀した後のワラは牛の餌や敷きワラにしたり、縄やむしろ、わらじなどいろいろなものを作りました。
涼しい「風伝おろし」が吹き抜け、昼夜の寒暖の差がある尾呂志の米は、昔から美味しいと定評があります。また、この強い風が、病気の元になる水滴や害虫を落としてくれるので、健全な稲が育ちます。
かつては、この良質な米と水を利用した酒蔵があり、江戸末期から大正まで栄え、その名声は熊野一帯に知れ渡っていたといいます。
10月に入ると、風伝峠から強い風が吹き始め、滝のように流れ落ちる名物の「朝霧(さぎり)」が見られる季節がやってきます。
祭り・行事
■いもたばり
中秋の名月におこなわれている日本版ハロウィンのようなお祭り。子どもたちが「たばらして〜」と言いながら、家々を回り、お供え物を分けてもらう行事。「たばり」は「賜り(たまわり)」がなまったものと言われています。
昔はサツマイモ、里芋、ミカン、栗、ぼん柿(小さい柿)をもらいましたが、今はお菓子が多くなっています。
尾呂志神社の秋の大祭
収穫に感謝して、10月の最終日曜日におこなわれています。子どもみこしが地区内を練り歩き、春と同じく餅ほりもあります。
秋の食べもの
●きのこ
サマツ(マツタケより前、9月頃に採れる。匂いはあまりしない)、マツタケ(10月)、ホウキタケ(ネズミノテ)、シメジなどが採れ、どれも美味です。
きのこ狩りはそれぞれの巣(秘密の場所)があり、夫婦親子にも教えずに採りに行きます。
アサギマダラ
この時期、東北地方から南へと移動する渡りの蝶。10月中旬、阪本地区の休耕田に植えたフジバカマがいっせいに咲くとその香りに誘われて、蜜を吸いにアサギマダラが群れをなしてやってきます。